「フォームに入力があるたびに、内容をスプレッドシートへ手作業で転記している」「メールの内容をチャットに共有するだけの作業に、毎日30分かかっている」——そんな繰り返し作業をプログラミングなしで自動化できるのが、ワークフロー自動化ツールです。複数のアプリやサービスをつなぎ、「Aが起きたらBを実行する」という流れを自動で動かしてくれます。
最近は単なるアプリ連携にとどまらず、AIに文章の要約や分類を任せたり、AIエージェントに作業そのものを指示したりできるツールが増えています。この記事では代表的な4つのツールを比較し、目的に合った選び方を紹介します。
AIワークフロー自動化ツールの活用シーン
AIワークフロー自動化ツールは、次のような場面で使われています。
- フォーム・問い合わせの自動処理: 問い合わせフォームの内容をスプレッドシートやチャットへ自動で振り分け、対応漏れを防ぎたい場面で使われます
- メール・文書の要約と整理: 届いたメールや資料をAIで要約し、必要な部分だけをまとめて共有したい場面に向いています
- SNS投稿・ブログ更新の効率化: 記事の公開をきっかけに、SNSへの告知やメルマガへの反映を自動化したい場面で活躍します
- 顧客管理(CRM)へのデータ登録: 名刺や申し込み情報を、手入力せずに顧客管理ツールへ自動で登録したい場面でも使われています
- 社内の定型業務の自動化: 日報の集計や通知の送信など、毎日・毎週発生する定型作業を任せたい場面に向いています
AIワークフロー自動化ツールでできること
一般的なアプリ連携にとどまらず、AIワークフロー自動化ツールには次のような機能が備わっていることが多いです。
- アプリ間の自動連携: 数百〜数千のアプリ・サービスをつなぎ、データを自動で受け渡す機能です
- 条件分岐・繰り返しの設定: 「金額が10万円以上なら承認依頼、未満なら自動処理」のように、条件によって処理を切り替える機能です
- AIによる文章処理: 要約・分類・翻訳・返信文のたたき台作成などを、フローの途中にAIで組み込める機能です
- AIエージェントの構築: 手順を細かく決めなくても、目的を伝えるとAIが状況に応じて判断しながら作業を進める仕組みです
- 実行履歴の確認とエラー通知: 自動処理がいつ動き、どこで失敗したかを後から確認できる機能です
無料プランでも小規模な自動化は試せることが多いですが、実行回数が増えると有料プランが必要になります。
早見比較表
| Zapier | Make | n8n | Lindy | |
|---|---|---|---|---|
| 開発元 | Zapier(米国) | Make(旧Integromat、チェコ発。2020年にCelonisが買収) | n8n(ドイツ発) | Lindy(米国) |
| 得意なこと | 9,000以上のアプリ連携・日本語版サイトあり | 画面上で流れを組み立てる視覚的な設計 | 自己ホストが可能・ワークフロー単位の課金 | 指示を伝えてAIに作業を任せる |
| 無料での利用 | Free(月100タスク・2ステップまで) | Free(月1,000クレジット・実行間隔は最短15分) | クラウド版は無料プランなし(トライアルあり)、自己ホスト版は無料 | なし |
| 最安有料プラン | Professional 年払い$19.99/月〜・月払い$29.99/月〜(750タスク) | Core 年払い$9/月・月払い$10.59/月(10,000クレジット) | Starter 年払い€20/月・月払い€24/月(2,500実行) | Plus $29.99/月/ユーザー(3,000クレジット) |
※料金は2026年9月時点の情報です。プラン内容は変更される場合があるため、最新の料金は必ず各公式サイトでご確認ください。日本からのアクセスでは、Zapier・Make・LindyはUSD建て、n8nはEUR建てで表示されます。また課金の単位がツールごとに異なる(タスク・クレジット・実行回数)ため、月額の安さだけでは単純に比較できません。
Zapier — アプリ連携の豊富さと日本語版サイトを重視するなら
Zapier(米国発)は、ノーコード自動化ツールの代表格です。公式サイトでは9,000以上のアプリと連携できると案内されており、公式サイトの日本語版も用意されています。近年はAIの活用にも力を入れており、AIアシスタントとの連携(Zapier MCP)にも対応しています。
料金プランはFree(月100タスク、2ステップのZapまで)、Professional(年払い$19.99/月〜・月払い$29.99/月〜、750タスク)、Team(年払い$69/月〜・月払い$103.50/月〜、最大25ユーザー)、Enterprise(要問い合わせ)という構成です。「タスク」は成功したアクション1回分で数えられ、トリガーやフィルターなどは数えられません。なお、2026年6月15日以降は「AI by Zapier」のステップがモデルの種類によって1〜5タスク分を消費する仕組みになっています。
※料金は2026年9月時点の情報です。日本からの表示はUSD建てです(通貨は切り替えも可能です)。
こんな人におすすめ
- 連携したいアプリが多く、対応アプリの数を重視する人
- 日本語の公式サイトで情報を確認しながら始めたい人
- まず無料プランで簡単な自動化を試してみたい人
Make — 画面上で流れを組み立てる視覚的な設計を重視するなら
Make(旧Integromat)は、画面上でアプリ同士を線でつないで自動化の流れ(シナリオ)を組み立てる、視覚的な操作が特徴のツールです。2020年にCelonisが買収し、2022年に現在の「Make」へ改称されましたが、サービスは継続して提供されています。公式サイトでは3,000以上のアプリと連携でき、AIエージェントも構築できると案内されています。
料金プランはFree(月1,000クレジット、実行間隔は最短15分)、Core(年払い$9/月・月払い$10.59/月)、Pro(年払い$16/月・月払い$18.82/月)、Teams(年払い$29/月・月払い$34.12/月)、Enterprise(要問い合わせ)の構成です。CoreからTeamsの価格は、いずれも月10,000クレジットを使う場合の金額で、必要なクレジット数に応じて料金が変わります。アクション1回が1クレジットとして数えられます。
※料金は2026年9月時点の情報です。日本からの表示はUSD建てです。
こんな人におすすめ
- 流れを図で確認しながら、複雑な分岐のある自動化を作りたい人
- 低価格で本格的な自動化を始めたい人
- 英語の画面でも問題なく使える人
n8n — 自己ホストが可能で、ワークフロー単位の課金を重視するなら
n8n(ドイツ発)は、ソースコードが公開されたツールで、自分のサーバーに設置して使う「自己ホスト」にも対応しているのが大きな特徴です。公式サイトでは500以上の連携先があると案内されており、AIエージェントの構築にも対応しています。課金は「実行回数」を基準としており、1回のワークフロー全体の実行が1回と数えられるため、ステップ数が多い処理でも回数が増えません。
クラウド版の料金プランはStarter(年払い€20/月・月払い€24/月、月2,500実行)、Pro(年払い€50/月・月払い€60/月、月10,000実行)、Business(年払い€667/月・月払い€800/月、月40,000実行)、Enterprise(要問い合わせ)という構成です。どのプランでもユーザー数とワークフロー数に制限はありません。クラウド版に無料プランはなく無料トライアルが用意されており、ソースコード公開版(Community Edition)は自己ホストであれば無料で利用できます。ただし、自己ホストする場合はサーバーの構築・運用・更新を自分で行う必要があります。
※料金は2026年9月時点の情報です。日本からの表示はEUR建てです。
こんな人におすすめ
- 自分のサーバーで動かし、データを外部に出したくない人
- ステップ数の多い処理を、実行回数ベースの課金で運用したい人
- ある程度の技術知識があり、自由度を重視したい人
Lindy — 指示を伝えてAIに作業を任せたいなら
Lindy(米国発)は、細かな手順を組み立てるのではなく、やりたいことを伝えてAIに作業を任せる「AIチームメイト」型のツールです。公式サイトでは1,000以上の連携先があると案内されており、SlackやiMessageから指示を出せるほか、GmailやChrome拡張機能とも連携します。メールの下書き、会議メモ、レポート作成、顧客管理ツールの更新といった作業を任せる使い方が紹介されています。
料金プランはPlus($29.99/月/ユーザー、月3,000クレジット)、Pro($99.99/月/ユーザー、月15,000クレジット)、Max($199.99/月/ユーザー、月35,000クレジット)、Enterprise(要問い合わせ)の構成です。永続的な無料プランはありません。Slack経由で参加したメンバーには7日間の無料トライアルがあり、直接サインアップした場合はすぐに課金が始まります。クレジットは毎月リセットされ、翌月に繰り越せません。メール送信など外部に影響する操作は、承認を求められる仕組みになっています。
※料金は2026年9月時点の情報です。USD建てです。
こんな人におすすめ
- 自動化の細かい設定を組むより、AIに指示して作業を任せたい人
- Slackなど普段使いのツールから指示を出したい人
- 使った分だけクレジットが消費される課金体系で問題ない人
選ぶ前に確認したいこと
- 目的を明確にする: アプリ連携の豊富さと日本語版サイトを重視するならZapier、視覚的に流れを組み立てたいならMake、自己ホストや実行回数課金を活かしたいならn8n、AIに作業を任せたいならLindyが向いています
- 課金単位の違いに注意: Zapierはタスク、Makeはクレジット、n8nは実行回数、Lindyはクレジットで数えられます。月額の安さだけでなく、自分の自動化がどれくらい実行されるかも見積もりましょう
- 通貨を確認: 日本からのアクセスでは、Zapier・Make・LindyはUSD建て、n8nはEUR建てで表示されます。為替レートの影響で円換算の金額が変わります
- AIの利用で消費量が増える場合がある: ZapierのAIステップはモデルの種類によって消費タスク数が変わり、Lindyも作業が大きいほどクレジットを多く消費します
- 言語対応を確認: Zapierは公式サイトの日本語版があります。Make・n8n・Lindyは公式サイトが英語中心で、日本語への対応は公式サイトでは確認できませんでした
よくある質問
Q. 無料プランだけでも使える? A. Zapier(月100タスクまで)・Make(月1,000クレジットまで)には無料プランがあり、小規模な自動化であれば無料で試せます。n8nのクラウド版とLindyには無料プランがなく、n8nはCommunity Editionを自己ホストすれば無料で使えます。
Q. プログラミングの知識は必要? A. 4ツールともノーコードで使えます。ただし、n8nを自己ホストする場合はサーバー運用の知識が必要になります。
Q. ZapierとMakeの違いは? A. どちらもアプリ同士をつなぐツールです。Zapierは連携先の数と日本語版サイトがあることが特徴で、Makeは画面上で流れを図として組み立てる設計と、月額の設定が比較的低めなことが特徴です。ただし課金単位が異なるため、実際の費用は使い方で変わります。
Q. n8nを自己ホストすれば完全に無料? A. ソフトウェア自体は無料ですが、サーバーの費用や運用の手間は自分で負担する必要があります。商用利用の条件は、n8nのライセンス文書で確認してください。
Q. Lindyは他の3つと何が違う? A. Zapier・Make・n8nは、自動化の流れを自分で組み立てるツールです。Lindyは目的を伝えてAIに作業を任せる形で、細かな設定を組み立てる手間を減らしたい人に向いています。
まとめ
- Zapier: アプリ連携の豊富さと日本語版サイトを重視するなら
- Make: 画面上で流れを組み立てる視覚的な設計を重視するなら
- n8n: 自己ホストが可能で、ワークフロー単位の課金を重視するなら
- Lindy: 指示を伝えてAIに作業を任せたいなら
まずはZapierやMakeの無料プランで、実際の自動化の作りやすさを確認してみてください。

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