AI歌声合成ソフト比較|Synthesizer V・VOCALOID6・VoiSona・NEUTRINOの選び方

「作った曲に歌を入れたいけれど、自分では歌えない」「仮歌を頼む相手がいない」——そんな悩みに応えるのが、メロディと歌詞を入力するとAIが人間のように歌ってくれるAI歌声合成ソフトです。近年はAI技術によって、息づかいや歌い方のくせまで自然に再現できるようになりました。

この記事では、代表的な4つのソフト(Synthesizer V Studio 2 Pro・VOCALOID6・VoiSona・NEUTRINO)を比較し、目的に合った選び方を紹介します。曲そのものをAIに作らせたい場合はAI音楽生成ツール比較、文章を読み上げる音声を作りたい場合はAI音声合成ツール比較もあわせてご覧ください。

AI歌声合成ソフトの活用シーン

AI歌声合成ソフトは、次のような場面で使われています。

  • オリジナル曲のボーカル: 自分で作曲した曲に、AIの歌声でボーカルを入れたい場面で使われます
  • 仮歌づくり: 歌手に渡す前のデモ音源に、メロディと歌詞が分かる仮の歌を入れたい場面に向いています
  • コーラスやハモリ: メインの歌に重ねるコーラスやハモリのパートを手早く作りたい場面で活躍します
  • 動画やゲームの音楽: 動画の主題歌やゲームの劇中歌など、作品に合わせた歌を用意したい場面でも使われています
  • 歌の練習用の音源: 合唱や歌の練習で、パートごとのお手本を作りたい場面に向いています

AI歌声合成ソフトでできること

AI歌声合成ソフトは、歌わせる操作をする「エディタ」と、歌声のもとになる「ボイス(歌声データベース・ボイスバンク・ボイスライブラリ)」の2つを組み合わせて使います。主に次のような機能が備わっています。

  • メロディと歌詞の入力: ピアノロールに音符を置いて歌詞を割り当てるだけで、AIが歌い方を考えて歌います
  • 歌い方の調整: ピッチ(音の高さ)やビブラート、声の強さや息の混ざり具合などを細かく調整できます
  • DAWとの連携: 作曲ソフト(DAW)のプラグインとして読み込み、伴奏と合わせながら編集できます
  • ほかの言語での歌唱: 日本語で収録されたボイスに、英語や中国語の歌詞を歌わせる機能を持つソフトもあります
  • 自分の歌い方の取り込み: 自分で歌った音声を取り込み、その歌い方をAIの歌声で再現する機能を持つソフトもあります

費用は「エディタの代金」と「ボイスの代金」の合計で考える必要があります。エディタが無料でもボイスが有料のソフトや、エディタにボイスが付いてくるソフトがあるため、比較するときは両方を確認しましょう。

早見比較表

Synthesizer V Studio 2 Pro VOCALOID6 VoiSona NEUTRINO
得意なこと 自然な歌声と、AIによる歌い直し・多言語歌唱 定番の歌声合成で、自分の歌い方の取り込みにも対応 エディタ無料、ボイスを月額でも使える エディタもボイスも無料
エディタの価格 ダウンロード版¥13,200(ボイス1つを選んで使える) ¥27,500(25ボイスを同梱) 無料(知声が付属) 無料
ボイスの価格 ¥9,680(AHS製の歌声データベース) ボイスバンクは別売りもあり 例: IAは月額¥880・年額¥6,600・買い切り¥13,200 無料(17キャラクター)
無料で試せる範囲 エディタは無料体験版、ボイスは7日間の試用 31日間の体験版(全機能) 購入前のボイスも曲の冒頭10秒まで試せる すべて無料
対応環境 Windows・macOS Windows・macOS Windows・macOS・iOS・iPadOS Windows・macOS・Google Colab

※価格は2026年10月時点の情報で、いずれも税込です。価格や内容は変更される場合があるため、最新の情報は必ず各公式サイトでご確認ください。Synthesizer Vの価格は国内販売元AHSのものです。

Synthesizer V Studio 2 Pro — 自然な歌声と、AIによる細かな歌い直しを重視するなら

Synthesizer V Studio 2 Proは、Dreamtonicsが開発し、日本では株式会社AHSが販売する歌声合成ソフトです。AIの歌声エンジンにより、平坦になりにくい表情豊かな歌い方を実現しています。

特徴的なのが「AIリテイク」で、歌声のピッチや声色、タイミングを、方向性を指定したうえでボタン1つで歌い直させられます。歌い方の特徴を切り替える「ボーカルスタイル」では、スタイルごとのピッチの表現や声色、発音の仕方を個別に調整できます。日本語で収録された歌声データベースに、英語・中国語・広東語・スペイン語・韓国語で歌わせる多言語歌唱や、ラップ歌唱にも対応しています(対応状況は歌声データベースによって異なります)。

作曲ソフトとの連携では、スタンドアロンでの動作に加えて、VST3・AU・AAX・ARAのプラグインとして使えます。インストールと認証にはインターネット接続が必要ですが、認証後は「オフラインライセンス」に切り替えればオフラインでも使えます。作った歌声は商用・非商用を問わず無償で利用できます(使用許諾とキャラクターの使用ガイドラインに従う必要があります)。

価格は、AHSのダウンロード版が¥13,200、パッケージ版が¥16,500、好みの歌声データベースが1つ付いたスターターパックが¥22,000です。エディタには、Dreamtonics製の歌声データベース1つ(Mai 2・Liam・Mo Xuから選択)が無料で付いてきます。AHSが販売するSynthesizer V 2専用の歌声データベースは1つ¥9,680で、これを持っていれば、機能を制限した「Synthesizer V Studio 2」を無料で使えます。エディタには無料の体験版があり、各歌声データベースは7日間試せます。Dreamtonicsの公式ストアでも、エディタ($99、ボイス1つ付き)とボイス($79)を販売しています。

※価格は2026年10月時点の情報です。AHSの価格は税込、Dreamtonics公式ストアは米ドル建てです。

こんな人におすすめ

  • できるだけ人間に近い、自然な歌声を作りたい人
  • 英語や中国語など、日本語以外の歌詞も歌わせたい人
  • 作曲ソフトのプラグインとして、本格的な楽曲制作に使いたい人

Synthesizer V Studio 2 Pro公式サイト(AHS)を見る →

VOCALOID6 — 定番の歌声合成で、自分の歌い方も取り込みたいなら

VOCALOID6は、ヤマハが開発する歌声合成ソフト「VOCALOID(ボーカロイド)」の最新版です。AI技術で人間の歌声の幅広い表現を学習した「VOCALOID:AI」を搭載し、メロディと歌詞を入力するだけで自然に歌わせられます。アクセントやビブラート、タメなどを指示できる編集ツールも用意されています。

新機能の「VOCALO CHANGER」では、自分で歌った歌唱データを取り込み、その歌い方をVOCALOID6用のボイスバンクで再現できます。1つのボイスバンクで日本語・英語・中国語を織り交ぜた歌詞を歌わせられるマルチリンガル機能や、ダブリング(同じ歌を重ねる手法)のパートを瞬時に作れる機能、100種類以上のスタイルプリセットも備えています。VOCALOID3以降のボイスバンクにも対応しています。

対応OSはWindows(64ビット)とmacOSで、スタンドアロンのほか、VST3・AUのプラグインとして使え、ARA2による作曲ソフトとの連携にも対応しています。作曲ソフトのCubase AIが付属するため(アップグレード版を除く)、作曲ソフトを持っていなくてもすぐに曲づくりを始められます。

価格は、ヤマハ公式のVOCALOID SHOPで¥27,500です。購入ページによると、25ボイスのボイスバンクが同梱されています。全機能を31日間無料で試せる体験版があり、ダウンロードには無料のVOCALOID IDへの登録が必要です。以前のバージョンを持っている人向けのアップグレード版も販売されています。

※価格は2026年10月時点の情報です。表示価格は税込です。

こんな人におすすめ

  • 「ボカロ」の定番ソフトで曲づくりを始めたい人
  • 自分の歌い方をもとに、AIの歌声を作りたい人
  • 作曲ソフトも含めて、一式をそろえて始めたい人

VOCALOID6公式サイトを見る →

VoiSona — エディタは無料、ボイスは月額でも使いたいなら

VoiSonaは、株式会社テクノスピーチが提供するAI歌声合成ソフトです。エディタは無料で、中性的な歌声の「知声(Chis-A)」が付属します。そのほかのボイスライブラリは有料ですが、購入前でも無料のエディタに追加すれば、曲の冒頭10秒まで実際に歌わせて試せます。

ピアノロールへの音符の入力のほか、MIDIファイルやMusicXMLファイルの読み込み、英語の歌詞の入力に対応しています。歌詞に記号を付けて母音を抜いたり裏声にしたりする表現や、音素ごとのタイミングの調整、ピッチ・音量・ビブラート・声質・ハスキーさをフリーハンドで描いて調整する機能も備えています。

対応環境はWindows・macOSに加えて、iPhone・iPadにも対応しています。パソコンではVSTi・AUのプラグインとして作曲ソフトで使え、iPhone・iPadではGarageBandやLogic Proなどで使えるAUv3プラグインとしても動作します。同じアカウントで複数の端末から使えます(同時に使える台数には上限があります)。なお、CeVIO AI専用のボイスライブラリは使えません。

価格は、ボイスライブラリごとに月額・年額・買い切りから選べます。たとえば「IA」は、月額¥880・年額¥6,600・買い切り¥13,200です。どのプランでも機能と音質は同じで、違いは支払い方法だけです。月額や年額を解約しても、利用期間中に書き出した音源は引き続き使えます。商用利用の条件はボイスライブラリごとに異なります。

※価格は2026年10月時点の情報です。表示価格は税込です。

こんな人におすすめ

  • 初期費用を抑えて、まずは月額で始めてみたい人
  • iPhoneやiPadでも歌声づくりをしたい人
  • 好きなボイスを1つずつ選んで買い足していきたい人

VoiSona公式サイトを見る →

NEUTRINO — エディタもボイスも無料で始めたいなら

NEUTRINOは、STUDIO NEUTRINOが提供するAI歌声合成ソフトです。本体ソフトも歌声ライブラリも無料で、一般的な楽曲制作や音声制作の範囲であれば、商用・非商用を問わず使えます。2026年9月時点で17名のキャラクターの歌声ライブラリが公開されており、プロジェクトのオリジナルキャラクター「めろう」「ナクモ」「ソウマ」「ルノ」の歌声は、一般的なソフト音源と同じ扱いで、利用報告や名称の記載も任意とされています。ほかのキャラクターの歌声を使う場合は、それぞれのガイドラインに従う必要があります。

AIの学習には、声優や演者の許諾を得て収録した音声データか、大学などの公的機関が公開している音声データのみを使っており、既存の学習済みモデルを使わずに一から学習していると公式サイトで説明しています。

使い方は、楽譜ソフトなどで作ったMusicXMLファイル(歌詞はひらがな・カタカナ)を読み込んで歌わせるのが基本です。ほかの歌声合成ソフトのファイルを変換するツールや、Windows向けに楽譜を画面上で作成・編集できる「NEUTRINO調整支援ツール」もあり、このツールを同梱した版も配布されています。対応環境はWindows・macOSのほか、ブラウザから使えるGoogle Colab版があり、最新版は第3世代の「Tau」です。2026年10月には、ブラウザで使える「Neutrino Orbit」Web版のα2テストが始まっています。

※2026年10月時点の情報です。本体ソフト・歌声ライブラリとも無料です。

こんな人におすすめ

  • お金をかけずに、AIの歌声づくりを始めたい人
  • 作った曲を商用で公開する予定がある人
  • 楽譜ソフトなどでMusicXMLファイルを作れる人

NEUTRINO公式サイトを見る →

選ぶ前に確認したいこと

  • 目的を明確にする: 自然な歌声や多言語の歌唱を重視するならSynthesizer V Studio 2 Pro、定番のソフトで自分の歌い方も取り込みたいならVOCALOID6、初期費用を抑えて月額で始めたいならVoiSona、完全に無料で始めたいならNEUTRINOが向いています
  • エディタとボイスの合計で比べる: Synthesizer VとVoiSonaはボイスを追加するたびに費用がかかり、VOCALOID6は多くのボイスバンクが最初から同梱されています。使いたい声が決まっている場合は、その声がどのソフトで販売されているかを先に確認しましょう
  • 商用利用の条件を確認: 作った曲を配信・販売する場合は、ソフト本体の使用許諾に加えて、ボイスやキャラクターごとのガイドラインを確認しましょう。同じソフトでも、ボイスによって条件が異なることがあります
  • 作曲ソフトとの連携を確認: 作曲ソフト(DAW)で使う場合は、対応するプラグインの形式を確認しましょう。作曲ソフトを持っていないなら、Cubase AIが付属するVOCALOID6や、スタンドアロンで使えるソフトが始めやすいです
  • 体験版で声と操作感を試す: 4ソフトとも無料で試せます。同じメロディと歌詞を入力して、声の好みと操作のしやすさを比べてから選ぶのが確実です

よくある質問

Q. Sunoなどの音楽生成AIとは何が違う? A. 音楽生成AIは、文章で指示するだけで伴奏と歌を含む曲をまるごと作ります。AI歌声合成ソフトは、自分で作ったメロディと歌詞を、指定した声で思いどおりに歌わせるためのソフトです。歌い方を音符ごとに細かく調整できるのが大きな違いです。

Q. 無料でどこまで使える? A. NEUTRINOは本体ソフトも歌声ライブラリも無料です。VoiSonaはエディタと付属の知声が無料で、ほかのボイスも曲の冒頭10秒まで試せます。Synthesizer V Studio 2 ProとVOCALOID6には無料の体験版があり、VOCALOID6の体験版は31日間、全機能を試せます。

Q. 作った曲を商用で使える? A. Synthesizer V Studio 2 Proは、使用許諾とガイドラインに従えば、商用・非商用を問わず無償で利用できます。NEUTRINOも一般的な楽曲制作の範囲では商用で使えます。VoiSonaはボイスライブラリごとに条件が異なります。いずれも、ボイスやキャラクターごとのガイドラインを必ず確認してください。

Q. Macでも使える? A. 4ソフトともmacOSに対応しています。VoiSonaはiPhone・iPadにも対応しており、NEUTRINOはパソコンにインストールせずにGoogle Colabで動かす方法もあります。

Q. 自分の声で歌わせることはできる? A. VOCALOID6の「VOCALO CHANGER」は、自分で歌った歌唱データを取り込み、その歌い方をVOCALOID6のボイスバンクで再現する機能です。自分の歌い方のくせを生かしながら、声はAIの歌声に置き換えられます。

Q. 文章を読み上げる音声も作れる? A. この記事で紹介したソフトは歌声を作るためのものです。ナレーションや読み上げの音声を作りたい場合は、AI音声合成ツール比較で紹介している読み上げ用のソフトが向いています。なお、VoiSonaには話し声を作る「VoiSona Talk」もあります。

まとめ

  • Synthesizer V Studio 2 Pro: 自然な歌声と、AIによる細かな歌い直しを重視するなら
  • VOCALOID6: 定番の歌声合成で、自分の歌い方も取り込みたいなら
  • VoiSona: エディタは無料、ボイスは月額でも使いたいなら
  • NEUTRINO: エディタもボイスも無料で始めたいなら

4ソフトとも無料で試せます。まずは同じメロディと歌詞を入力して、気に入る声と、続けやすい操作感のソフトを選んでみてください。

コメント