「顧客管理や在庫管理のための業務アプリが欲しいが、エンジニアを雇う予算がない」「アイデアはあるのに、コードが書けないから形にできない」——そんな悩みに応えるのが、コードを書かずにデータベースや会員機能を備えた本格的なアプリを構築できるAIノーコード開発ツールです。テキストで作りたいものを指示するだけで、AIがアプリの土台を自動生成してくれるようになっています。
集客用のホームページを作る「AIウェブサイト制作ツール」とは異なり、ここで紹介するツールはデータベース・ユーザー管理・ワークフロー自動化を備えた「アプリ」を作るためのものです。ひとくちにAIノーコードアプリ開発ツールといっても、iOS/Androidのネイティブアプリ配信に強いもの、Webアプリの複雑なロジックに対応できるもの、スプレッドシート感覚で使えるもの、社内業務ツールの構築に特化したものなど、得意分野はツールごとに異なります。この記事では代表的な4つのツールを比較し、目的に合った選び方を紹介します。
AIノーコードアプリ開発ツールの活用シーン
AIノーコードアプリ開発ツールは、次のような場面で使われています。
- 社内業務システムの構築: 在庫管理・顧客管理・案件管理など、自社の業務に合わせたシステムを外注せずに作りたい場面で使われます
- スタートアップのMVP開発: アイデアを検証するための試作アプリ(MVP)を、エンジニアを雇う前に素早く形にしたい場面に向いています
- モバイルアプリのストア公開: コードを書かずにiOS・Androidアプリを開発し、App StoreやGoogle Playで公開したい場面で活躍します
- クライアントポータルの提供: 取引先や顧客がログインして情報を確認できる専用ページを作りたい場面でも使われています
- 既存データベースを活かしたアプリ化: Airtableやスプレッドシートに蓄積したデータを、そのままアプリの画面として活用したい場面で活用されています
AIノーコードアプリ開発ツールでできること
一般的なウェブサイトビルダーや単純なフォーム作成ツールと違い、AIノーコードアプリ開発ツールには次のような機能が備わっていることが多いです。
- AIによるアプリの自動生成: 作りたいアプリを自然言語で説明するだけで、データベース構造や画面をAIが自動で組み立てる機能です
- データベース機能: 顧客情報や在庫データなどを保存・管理できる、本格的なデータベースを内蔵している機能です
- ユーザー管理・ログイン機能: アプリの利用者ごとにアカウントを発行し、権限を分けて管理できる機能です
- ワークフロー自動化: 特定の条件を満たしたときに通知を送ったり、データを更新したりする処理を自動化する機能です
- 外部サービスとの連携: Airtable、Google Sheets、Zapierなど、既存のツールとデータを連携させる機能です
無料プランでもアプリの試作・テストは可能なことが多いですが、公開(パブリッシュ)や本格的な運用には有料プランへの加入が前提になります。
早見比較表
| Bubble | Adalo | Glide | Softr | |
|---|---|---|---|---|
| 開発元 | Bubble(米国) | Adalo(米国) | Glide(米国) | Softr(ドイツ) |
| 得意なこと | Webアプリの複雑なロジック構築 | iOS/Androidネイティブアプリの配信 | スプレッドシート感覚でのアプリ構築 | 社内業務ツール・クライアントポータル構築 |
| 無料での利用 | Free(無期限、開発・テスト用) | Free(無期限、500レコードまで) | Free(無期限、限定クレジット) | Free(無期限、月5AIクレジット) |
| 最安有料プラン | Starter 年払い$59/月〜・月払い$69/月 | Starter $36/月〜(年払い) | Basic $25/月〜 | Basic $19/月〜 |
※料金は2026年9月時点の情報です。プラン内容は変更される場合があるため、最新の料金は必ず各公式サイトでご確認ください。4ツールともUSD建てで、日本からのアクセス時も米ドル表示であることを確認済みです。
Bubble — Webアプリの複雑なロジックを構築したいなら
Bubbleは、米国のBubbleが開発する、ノーコード業界の老舗にあたるツールです。Web・iOS・Androidアプリを1つのプロジェクトから構築でき、複雑な条件分岐やデータ処理を伴う本格的なWebアプリケーションの開発に強みがあります。サーバーリソースの使用量を「ワークロード」という単位で計測する独自の従量課金の考え方を採用しているのも特徴です。
料金プランはFree(無料、開発・テスト用)、Starter(年払い$59/月・月払い$69/月、アプリの本番公開が可能)、Growth(月$209、チームでの共同作業向け)、Team(月$549、チームやビジネスのスケール向け)、Enterprise(要問い合わせ)の5段階です。年払いにすると最大20%の割引があります。
※料金は2026年9月時点の情報です。USD建てで、日本からのアクセス時も米ドル表示であることを確認済みです。
こんな人におすすめ
- 複雑な業務ロジックを持つ本格的なWebアプリを作りたい人
- 1つのプロジェクトからWeb・モバイルの両方に展開したい人
- 老舗ツールとしての実績・コミュニティの豊富さを重視したい人
Adalo — iOS/Androidネイティブアプリの配信を重視するなら
Adaloは、米国のAdaloが開発する、ネイティブモバイルアプリの構築・配信に強みを持つツールです。1つのビジュアルキャンバス上で画面を確認しながら、AIアシスタント「Ada」に自然言語で指示を出してアプリを組み立てられるのが特徴です。App StoreやGoogle Playへの自動公開機能も備えています。
料金プランはFree(無料、500レコード/アプリまで、Ada AIアシスタント利用可)、Starter(年払い$36/月、月払いは20%高い金額、1つの公開アプリ・カスタムドメイン)、Professional(年払い$52/月、2つの公開アプリ・5名のエディター)、Team(年払い$160/月、5つの公開アプリ・10名のエディター)、Adalo Blue(要問い合わせ、専用インフラ)の5段階です。AI機能はどのプランでも追加料金なしで利用できます。
※料金は2026年9月時点の情報です。USD建てで、日本からのアクセス時も米ドル表示であることを確認済みです。
こんな人におすすめ
- App Store・Google Playでのネイティブアプリ配信を前提としている人
- ビジュアルキャンバスで画面を見ながらAIに指示を出したい人
- 追加料金を気にせずAI機能を使い倒したい人
Glide — スプレッドシート感覚でアプリを構築したいなら
Glide(GlideOS)は、米国のGlideが開発する、スプレッドシートやプロンプトからアプリを生成できるツールです。もともとはスプレッドシート連携のアプリ作成ツールとして知られていましたが、現在はプロンプト・スプレッドシート・ファイルのいずれからでも業務アプリを構築できるAIソフトウェア開発プラットフォームへと進化しています。エージェントモード(light・medium・heavy)を選んでAIの関与度合いを調整できる点も特徴です。
料金プランはFree(無料、限定クレジット・2名のチームメンバー)、Basic(月$25、100クレジット・公開アプリ2つ)、Plus(月$50、250クレジット・公開アプリ5つ)、Pro(月$125、500クレジット・無制限の公開アプリ)、Enterprise(要問い合わせ)の5段階です。年払いの割引に関する明確な記載は公式サイト上にありませんでした。
※料金は2026年9月時点の情報です。USD建てで、日本からのアクセス時も米ドル表示であることを確認済みです。
こんな人におすすめ
- 既存のスプレッドシートやAirtableのデータをそのままアプリ化したい人
- プロンプトだけで業務アプリの土台を素早く作りたい人
- AIの関与度合いを用途に応じて調整したい人
Softr — 社内業務ツール・クライアントポータルの構築を重視するなら
Softrは、ドイツのSoftrが開発する、社内業務ツールやクライアント向けポータルの構築に特化したツールです。AI Co-Builder(AIビルディングパートナー)に作りたいものを説明するだけで、データベース・アプリ・業務ロジックまでを自動生成してくれます。Airtable・Google Sheets・HubSpot・Notion・Salesforceなど、既存の外部データソースとの連携の豊富さも特徴です。
料金プランはFree(無料、月5AIクレジット・無制限のアプリ/データベース/ワークフロー)、Basic(月$19、月10AIクレジット・カスタムドメイン)、Pro(月$99、月50AIクレジット・カスタムコード対応)、Business(月$329、月100AIクレジット・2要素認証)、Enterprise(要問い合わせ)の5段階です。年払いにすると2ヶ月分が無料になります。
※料金は2026年9月時点の情報です。USD建てで、日本からのアクセス時も米ドル表示であることを確認済みです。
こんな人におすすめ
- 社内の業務ツールやクライアントポータルを手早く構築したい人
- Airtableなど既存のデータソースを活用してアプリを作りたい人
- AIに指示を出すだけでデータベース設計まで任せたい人
選ぶ前に確認したいこと
- Webアプリかネイティブモバイルアプリか: App Store・Google Playでのネイティブアプリ配信を重視するならAdalo、Webアプリの複雑なロジックを重視するならBubbleが向いています
- 料金体系の違いに注意: BubbleはサーバーリソースをWU(ワークロードユニット)という独自単位で計測する従量課金要素があり、Glide・Softrは「AIクレジット」の消費量に応じて機能が変わります。想定する利用規模に応じてどの課金方式が合うか確認しましょう
- 既存データとの連携: すでにAirtableやスプレッドシートでデータを管理している場合、Glide・Softrはそれらをそのままアプリ化しやすい設計になっています
- 無料プランでどこまで試せるか: 4ツールとも無料プランで開発・テストは可能ですが、実際にアプリを公開(パブリッシュ)するには有料プランへの加入が必要になる場合がほとんどです
- AI機能の課金方式: Adaloは全プランでAI機能が追加料金なしですが、Glide・Softrはクレジット制でAI機能の利用量に上限があります。AIにどれだけ頼って開発したいかも選ぶ基準になります
よくある質問
Q. 無料プランだけでもアプリは作れる? A. 4ツールとも無料プランでアプリの開発・テストは可能です。ただし、実際にアプリを公開してユーザーに使ってもらうには、多くの場合有料プランへの加入が必要になります。
Q. プログラミングの知識は必要? A. 4ツールともプログラミング知識がなくても使える設計ですが、複雑なロジックを組む場合はBubbleのように多少の学習コストがかかるツールもあります。AIアシスタントに自然言語で指示を出すことで、この学習コストを下げられる点が近年のトレンドです。
Q. スマートフォンアプリとして配信できる? A. Adaloはネイティブのモバイルアプリ(iOS/Android)をApp Store・Google Playに直接公開できます。Bubbleも同様にネイティブモバイルアプリの構築に対応しています。Glide・Softrは主にWebアプリ・PWA(プログレッシブウェブアプリ)としての利用が中心です。
Q. 既存のスプレッドシートのデータを使いたい場合は? A. Glideはスプレッドシートを起点にアプリを構築する設計で親和性が高く、SoftrもAirtableやGoogle Sheetsとの連携機能を備えています。
Q. チームで共同開発できる? A. 4ツールともチームプランでは複数人での共同開発に対応しています。プランによって同時に編集できるメンバー数の上限が異なるため、チーム規模に合わせて選ぶ必要があります。
まとめ
- Bubble: Webアプリの複雑なロジックを構築したいなら
- Adalo: iOS/Androidネイティブアプリの配信を重視するなら
- Glide: スプレッドシート感覚でアプリを構築したいなら
- Softr: 社内業務ツール・クライアントポータルの構築を重視するなら
まずは各ツールの無料プランで、実際にAIへの指示だけでどこまでアプリが形になるかを試してみてください。


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